3つの柱とMLP(Minimum Lovable Product)
概要
マイクロジャーニーを特定し、Pegaアプリケーションの開発で使用する重要な情報を収集します。 MLP(Minimum Lovable Product)のリリースより先にマイクロジャーニーに取り組みます。
詳細(ビデオ)
Pegaソリューションは、次の2つの基本コンセプトに基づいています。
- 顧客が目標を達成するために、ある組織と行うインタラクションを表すジャーニー。
- 特定の顧客タイプがその特定の目標を達成するために特定のデリバリーチャネルを通して行うインタラクションを表すMicrojourney™(マイクロジャーニー)。
ジャーニーを完全に実装するには複数回のリリースが必要になる場合がありますが、マイクロジャーニーは必ず1回のリリースで完全に実装します。
Minimum Lovable Product(MLP)は、Pegaがソリューションを提供する方法の核となるものです。
MLPとは、顧客(またはクライアントの顧客)を満足させるためにすばやく提供できる、最もシンプルなソリューションのことです。顧客が心から気に入り、妥協のないソリューションです。
Minimum Viable Product(MVP)に着目している企業もありますが、PegaではMLPにはるかに多くの価値を見いだしています。
最初のMinimum Lovable Productは、特別な特徴を持ちます。
まず、「MLP1」と呼ばれることが多い最初のMinimum Lovable Productのリリースでは、高いビジネス価値を提供することに焦点を当てます。このリリースにおけるPegaへの投資の見返りがクライアントの目にすぐに見えるようにする必要があります。
次に、このMLP1リリースでは、価値をすばやく実現することにも焦点を当てます。クライアントは、このリリースが提供する価値以上のものを目にします。しかもその価値をすぐに確認できます。
最後に、真のビジネス価値をすばやく実現するために、一般的にMLP1リリースではごく少数のインターフェイスのみを使用します。それらすべてのインターフェイスはすでに存在するものである必要があります。このルールを破ると、最初のMLPリリースのリスクが非常に大きくなります。
すべてのPegaソリューションは、次の3つの柱で支えられています。
- マイクロジャーニー
- ペルソナとチャネル
- データとインターフェイス
Pegaソリューションデリバリーの要となるのがマイクロジャーニーです。マイクロジャーニーとは、あるタイプの顧客が特定の目標を達成しようとする中で特定のデリバリーチャネルを通して組織と行われるインタラクションのことです。
マイクロジャーニーは、通常はプロジェクトの開始前か、プロジェクトの最初の数週間に定義します。
Pegaソリューションの2つ目の柱は、ペルソナとチャネルの組み合わせです。
各マイクロジャーニーは、次の組み合わせで構成されます。
- 顧客の1つの目標
- 1つのペルソナ(1つのタイプの顧客)
- これにより、組織とインタラクションする人が分かります
- 1つのデリバリーチャネル(コールセンターやウェブサイトなど)
- これにより、そのペルソナが組織とインタラクションする方法が分かります
たとえば、銀行向けのあるマイクロジャーニーは、見込み客が銀行のウェブサイトから住宅ローンを申請することかもしれません。
ペルソナとチャネルは、多くの場合はプロジェクト開始前に実施している顧客調査で特定されます。
Pegaソリューションの3つ目の柱は、必要とするデータと、そのデータを提供するインターフェイスです。
各マイクロジャーニーに対して、3つの質問をする必要があります。
- そのマイクロジャーニーを完了するためにどのようなデータが必要ですか。
- そのデータはどこに格納されていますか。
- そのデータに現在アクセスできますか。
マイクロジャーニーを特定するプロセスを通して、このデータに関する情報が明らかになります。
新しいソリューションは、リプレース前のソリューションとはデータ要件が異なる場合がありますが、たいていの場合、各マイクロジャーニーのデータのニーズを特定するときの開始点としては、現在のビジネスアーティファクト(紙の書類やビジネスプロセスフロー図など)とシステムの出力(レポートやアプリケーションの画面など)が適切です。
Pega Infinity™の前に、ケースタイプバックログを使用して次のものを収集できます。
- マイクロジャーニー
- そのペルソナとチャネル
- その関連データとインターフェイス
Pega Platformは、Pega Infinity™を使用してマイクロジャーニーとその補足情報を直接収集します。
ジャーニーとは、顧客が特定の目標を達成しようとする中でその顧客と組織との間で行われる一連のインタラクションのことです。
しかし、これはMinimum Lovable Productを構成するには大きすぎます。ジャーニーは、もっと小さい部品に分解して、ジャーニーのうち最も価値がある要素をすばやく提供できるようにする必要があります。
その小さな部品がマイクロジャーニーです。各マイクロジャーニーは、ジャーニーの一部分であり、MLPの基礎となる作業単位です。
マイクロジャーニーは、次のものを表します。
- 顧客の1つの目標
- 1つのペルソナ(顧客タイプ)
- 1つのデリバリーチャネル
焦点を絞ったマイクロジャーニーのスコープが、リリースの基礎を構成します。
それをより明確にするために、いくつか例を紹介します。
1つ目として、住宅ローンを借りる場合を考えてみてください。
ある銀行は、顧客が長い年月の間に住宅ローンを借りる方法に関心を持っています。それには、初めての住宅ローンを借りて、後で借り換えるといった顧客の複数の目標が関係する可能性があります。
その結果、この銀行では2つのジャーニーを定義し、それぞれに固有の顧客の目標を設定しました。
初めての住宅ローンのジャーニーを検討しているときに、この銀行は、あるタイプの顧客は、コールセンターに問い合わせてこの住宅ローンを借りることを快適に感じ、別のタイプの顧客は、銀行のウェブサイトを通して申請することを好むことに気付きました。
これらの例はそれぞれ、ペルソナとチャネルの異なる組み合わせであるため、それぞれが別のマイクロジャーニーを表します。
次は、請求書について問い合わせたい顧客がいる通信会社を考えてみましょう。
請求に関する問い合わせにはさまざまな要素があります。この通信会社では、2つのことに焦点を当てることにしました。特定の請求書の内容を問い合わせることと、顧客にアカウント管理のセルフサービスを提供することです。
それぞれ顧客の目標が異なるため、別々のジャーニーになります。
この通信会社では、請求書に関する問い合わせのジャーニーを次の2つのマイクロジャーニーに分割できると気付きました。
コールセンターを利用して請求の傾向の推移を問い合わせたいスモールビジネスの経営者と、通信会社のウェブサイトを利用して特定の請求明細の妥当性について問い合わせたい消費者です。
いずれのケースでも、各マイクロジャーニーは1つのチャネルを通して1つのペルソナにもたらされる顧客の1つの目標を表します。
ジャーニーとマイクロジャーニーは、Pegaソリューションを提供するときの最後のピースではありません。始まりなのです。
Pegaでは、マイクロジャーニーは、通常、ケースタイプ、デシジョンストラテジ、ロボティックオートメーションごとに実装されます。これらのルールは、業務部門が定義したニーズと、デリバリーチームが提供するソリューションをつなぐ橋渡しとなります。
複数のリリースが必要なプロジェクトでは、通常はマイクロジャーニーの実装を補助するためにユーザーストーリーが必要になります。複数のユーザーストーリーによって実装されるマイクロジャーニーもあれば、複数のマイクロジャーニーの実装の一部であるユーザーストーリーもあります。
次の問題に答えて、理解度をチェックしましょう。